袴のサイズと選び方はどうすればいい?
失敗しないためのポイントを解説

2021年12月23日

卒業式や成人式に袴を着る際に必ず行うのが、袴のデザインを選ぶときと一緒に行う、袴のサイズ選びです。

  • 袴を着る予定があるけれど、自分に合うサイズがわからない…
  • 袴のサイズの測り方が知りたい

袴のサイズに関しては、このようなことで困った経験を持つ方も少なくないのではないでしょうか。

そこで、この記事では袴のサイズの選び方や測り方の基本的な考え方を分かりやすく解説していきます。

袴を着る方の身長ごとに適切な袴サイズの目安が分かる一覧表も用意しましたので、ぜひ参考にしてください。

袴のサイズは「裄」「袖丈」「袴丈」で測る

まずは袴のサイズの測り方について簡単に解説します。

袴のサイズは、以下の3つの長さを測り、着る人にぴったりと似合うサイズとなるよう着付けるのが基本となります。

  • 裄(ゆき)
  • 袖丈(そでたけ)
  • 袴丈(はかまたけ)

袴は数cmの違いで全体の印象が変わりやすい着物です。3つの部位のサイズを元に選んだ袴は、本番までに一度着用して、細かい丈感を調整しましょう。

以下では、それぞれどこの長さを指すのか具体的に説明していきます。

裄(ゆき)とは?

袴の裄(ゆき)とは、主に首の付け根から手首までの長さを指します。

身体を左右で分けたときの背中や首のラインを「背中心」と呼び、首の付け根の背中心から肩を通った場合の手首までの長さを計測します。

裄の長さは適切な袖の長さを計算するために必要となるため、計測時は首から肩、手首まで身体のラインに沿うよう、採寸メジャーで計測します。

ちなみに、ジュニア用は袖が邪魔にならないよう肩上げをすることが多いため、大人用よりも裄が短くなることが一般的です。

袖丈(そでたけ)とは?

袖丈(そでたけ)とは、肩から袖下まで上下を合わせた場合の長さを指します。そのため、厳密にいえば袴ではなく振袖部分の長さを測ることになります。

成人式では袴に振袖を合わせることが多いため、100cm程度の長さがある中振袖を着用することもあります。一方、成人式よりも移動や着席などの動作が多いこともある卒業式では、85cm程度と袖丈が短い小振袖が選ばれることも多いでしょう。

袴丈(はかまたけ)とは?

袴丈とは、袴の帯部分から裾までの長さを指します。

帯紐の長さは袴丈の長さに含まないため、具体的には袴にひだができる始まりの部分から裾までの長さということになります。

袴丈は基本的に脚のくるぶしの長さになるようにするのがよいとされています。しかし袴を履く目的や履物に合わせて長さを調節するという特徴もあり、大抵の場合草履を履く場合は長めに、ブーツを履く場合は短めに調節します。

ちなみにブーツを履く場合に短くする理由は、裾の長さを短くすることで足元がすっきりと見えて、よりお洒落に見えるためです。

袴のサイズの測り方の手順

裄、袖丈、袴丈の3つのサイズを測るときは、ただ単に巻き尺で測るだけでは不十分なことが多いです。袴を着る人がポーズをとり、より正確なサイズを測る必要があるでしょう。

ここでは、袴のサイズをより正確に測るための手順を詳しく紹介します。

裄の測り方

はじめに、脇を45度の角度に広げます。その後手を軽く広げた状態をキープし、首の付け根から肩を通り、手首の付け根辺りまでの長さを巻き尺で計測します。

計測時は、身体のラインに沿って長さを計測できる柔らかな巻き尺が使いやすいですが、それがなければ紐で計測して後から定規や巻き尺で紐の長さを確かめる方法もあります。

また、「首の付け根の中心から肩の端まで測る肩幅」と、「肩の端から手首まで測った合計の数字」を足して裄の長さを計算することもできます。

ちなみに、小学生や中学生といったジュニアサイズの場合、64cm以上の裄があれば丈を調節して大人用を着用することもできます。

袖丈の測り方

袖丈は肩の端から袖の裾までの、直線状の長さを計測しましょう。

また、袖丈を測るときは振袖の種類によって長さが変わりやすいことに注意が必要です。

たとえば振袖の中で最も袖が長い長振袖の場合、袴の竹とほとんど長さが同じ、120cm以上の袖丈があることも珍しくありません。

袴丈の測り方

袴丈はアンダーバスト部分にあたる帯の長さは含まずに、袴にひだができ始める箇所から裾の終わりまでの直線の長さを巻き尺で測りましょう。

くるぶしと同じ程度の長さの袴を用意したい場合、女性であればアンダーバストから5cm程度下の位置から測り始めると、理想的な丈の長さと同じくらいの袴丈の数字を割り出すことができます。

また、袴丈は着用した状態だけではなく、床や畳など平坦な場所に広げた状態でも正確な数字を測定することができます。

適切な袴サイズかどうかをチェックするポイント

袴は着用時のシルエットがシンプルになりやすい着物ですが、さらに見栄えよく袴を着こなすためには、袴のサイズが適切かどうかをしっかりチェックしておく必要があります。

ここでは、理想的なサイズの袴を着用できているかどうかを確認したいとき、どのようなポイントに注目すればよいのかを解説していきます。

足首と同じくらいの丈の長さになっているか

袴の丈は、基本的に足首全体が見えない程度でありつつも、足首が完全に隠れない程度の長さを意識するのが重要です。

足首が完全に隠れてしまう長さの場合、素足で歩くときに裾が床や地面に付くことになり、野暮ったい印象を与えてしまいやすいです。何より、足首よりも長い袴は裾を踏んでしまいやすいので、転倒によるケガや思わぬ着崩れが起こってしまうリスクが高くなります。

そのため、袴を履くときは足首までの袴丈をしっかり計測し、ちょうどよい長さに調節しておくことが大切です。

腰から足までのシルエットがすっきりしているか

袴の広がり具合は、和装全体の見栄えに大きく影響します。

袴のボリュームをちょうどよくしたい場合は、袴のひだが不自然に広がっていないか、シルエットがワンピースのような台形になってしまっていないかなどを確認するようにしましょう。

袴を着る人のサイズにぴったり合った袴の場合、ワンピースを着たときのような台形のシルエットにはならず、胸元から足元までがまっすぐにすとんと落ちる、すっきりしたシルエットになります。サイズを合わせるときは参考にしてみてください。

身長別!袴サイズ選びの一覧表

袴の適切なサイズを判断するためには、ただ単に長さを測るだけでは不十分であり、体型によって似合う袴のサイズが変わってくることを意識しておくことが大切です。

そのため、基本的には袴丈を参考にしつつも、身長やアンダーバストなどの情報をよく確認しておくことが必要になるでしょう。

そこで、草履を履く場合とブーツを履く場合のふたつに分けて、それぞれの適切な袴のサイズを一覧表にまとめました。袴を選ぶときの参考にしてみてください。

なお、紹介している対応サイズはあくまでも目安であり、想定される袴丈やアンダーバストなどのサイズはそれぞれの袴によって変わってきます。袴を購入するときやレンタルするときは、可能な限りその袴の丈の長さを参考にするようにしてみましょう。

草履を履く場合の袴サイズの一覧表

草履を履く場合に目安となる袴サイズの一覧表は、以下の通りです。

袴に草履を合わせる場合は、基本的なセオリーと同様、くるぶしの長さになるよう袴丈を調節するのがよいとされています。

対応サイズ身長(cm)アンダーバスト(cm)袴丈(cm)
SS子供(小学生まで)5765~80
S140~1456581~90
M146~1507090~95
L151~1557595~99
LL156~16580100~102
3L165~85~103~105

ブーツを履く場合の袴サイズの一覧表

ブーツを履く場合に目安となる袴サイズの一覧表が以下になります。

ブーツを合わせる場合は、草履を履く場合よりも3cm程度袴丈を短くするのがポイントです。

その理由は、草履と同じ丈にするとブーツが袴にすっぽりと覆い隠されてしまい、せっかくのお洒落なファッションが見えなくなるためです。

ブーツの足首部分が見える程度の長さに調整すると、厚底のブーツを合わせたとしても足元がすっきりした印象になりやすいため、おすすめです。

対応サイズ身長(cm)アンダーバスト(cm)袴丈(cm)
SS子供(小学生まで)5762~76
S140~1456577~87
M146~1507088~92
L151~1557593~96
LL156~1658097~99
3L165~85~100~102

袴のサイズを調整する3つの方法

袴を着用するときに、サイズをもう少し細かく調整したいと悩んだことはないでしょうか?

また、

  • 袴を実際に着用してみたらサイズが少し合わなかった
  • 当時と体型が変わっていて、数年前に用意した袴が体型に合わない

という方もいるでしょう。

実は、袴はある程度サイズや丈を自分で調整することができます。ここでは、袴のサイズを調整する主な方法を3つ紹介していきます。

自分で肩上げして袖を調整する

袖丈の長さを調整したい場合、自分で肩上げを行って袖の長さを調整し、袴と合った長さにする方法があります。

肩上げとは、着物の肩部分の生地を中に織り込んで縫う方法で、主に袖丈が手首の長さを超えてしまう場合に有効な方法です。

具体的な方法としては、以下の通りです。

  1. 首の根元から袖の先までの長さの中間となる場所に、生地を中に織り込む場所となる「上げ山」の位置を決める
  2. 背中を覆う後ろ部分(後ろ身頃)も背中心と並行になることを意識しつつ、前の部分(前身頃)とのバランスを調整する
  3. 決めた位置に上げ山を作り、着物を織り込んで内側のラインを縫う

ちなみに、すでに肩上げを一度行っている場合、上げ山の位置はそのままに、織り込む着物の幅を変更して寸法を調節するのがおすすめです。

腰上げして身丈を調整する

肩上げと同様の作業を腰部分で行う「腰上げ」をすれば、着物の丈が長すぎる場合に袴の裾から中に着る着物が見えてしまうことが少なくなるでしょう。

その際、腰ひもを使い着物の長さが袴より3~5cm程度短くなるよう、おはしょりを作ることも有効です。

腰上げを行う場合は腰ひもで腰部分の布を折り重ねて、上げ山を作り縫い付けるのがポイントです。

袴を帯の位置で調整する

袴丈が短すぎるもしくは長すぎる場合、縫い上げて調節しようと考える方も多いです。しかし、実際に縫い上げてみると足元の縫い目が気になってしまうことも少なくありません。

そこで、帯の位置を変えることで袴の丈を調整することも検討してみましょう。

たとえば、袴が短すぎる場合は通常よりも胸下の位置を下げて着付けます。帯の位置が下がることで、袴丈が若干長くなるでしょう。

反対に袴が長すぎる場合は、履物を草履からブーツに変えることも有効です。ブーツのヒールで身長が伸びる分、長すぎる袴の裾が気にならなくなるでしょう。長い袴を短く着ようとして無理に胸下より高い位置で着付けると、かえって着物との比率のバランスが崩れてしまうので注意が必要です。

まとめ

袴のサイズ選びは、「」「袖丈」「袴丈」の3つに注目し、その人の体型や身長、アンダーバストによって適切なものを選ぶことが大切です。

基本的には、袴は適切なサイズを選べていれば微調整の必要はないことがほとんどです。

しかし着る人の体型に応じておはしょりや肩上げなどの微調整を行い、全体のバランスを整えることもあるので覚えておくと役に立つでしょう。

何cmも縫い上げなければ綺麗に着付けできない場合は、流石にサイズが合っていない可能性が高いため、別のサイズを選ぶことも検討してみましょう。

成人式や卒業式など、袴を着る当日に慌てないよう、事前に袴を試着して丈の長さや全体のシルエットを確認してみることをおすすめします。

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