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卒業袴の柄には意味がある?
定番のものから流行りのデザインまで紹介

2021年12月20日

卒業袴の柄はバリエーション豊富なので、柄選びに悩む方も多いと思われます。和服に描かれる柄には花や縁起がいいといわれる吉祥模様が多く、それぞれには意味が込められているため、柄の意味も考えて選ぶことで、お気に入りの1枚が見つかるでしょう。

今回は、定番から流行りのデザインまで、卒業袴の柄の意味などについてご紹介します。選び方に迷ったときは、柄が持つ意味から選んでみてはいかがでしょうか。

卒業袴の柄の意味

まずは卒業袴によく使われる柄の意味を解説します。それぞれの柄にはどのような意味があるか知ることで、卒業袴の柄選びがいっそう奥深いものとなるでしょう。

椿

椿は冬から春にかけて咲く花で、春の訪れを感じさせます。古来、椿は吉祥木とされ、平安時代には魔除けの木として使われていた縁起の良い花です。花言葉は「控えめな美しさ」「気取らない優美さ」などがあるため、大和撫子にふさわしい柄といえるでしょう。花模様は小さく描かれるものが多いですが、椿は丸く大きな柄で大胆に描かれることが多く、レトロなデザインのモチーフとして人気です。

日本人が好きな花といえば桜ですが、奈良時代までは花といえば梅でした。昔から日本人に愛され、松竹梅として慶事に使われる縁起の良い花です。冬の寒さに耐え、春一番に花を咲かせる梅には「辛い時期を耐え忍び努力すれば、いつか美しい花が咲き誇る」という意味があります。梅の花言葉には「上品」「高潔」などの他に、「不屈の精神」があります。

冬の厳しい寒さの中で花を咲かせる梅のように、これから新社会人として新しい環境に飛び出ていく卒業生にふさわしい柄といえるでしょう。梅には古風なイメージがありますが、ねじり梅などレトロやポップなデザインに用いられることも多い柄です。

日本人が愛してやまない花といえば桜ですね。奈良時代までは花といえば梅でしたが、平安時代になると貴族たちが桜を愛好するようになり、花は桜を指すようになりました。桜は五穀豊穣の神が宿る木であるため、「豊かさを表す」とされています。また、春の訪れとともにたくさんの花が芽吹く桜は縁起の良い物事の始まりを意味するといわれています。卒業袴のモチーフにぴったりの意味を持つ柄といえるでしょう。花言葉には「精神の美」「優美な女性」などがあります。

卒業袴に描かれる桜は八重桜やしだれ桜などがあり、図案も咲き誇る花だけが描かれたものや、風に舞う桜吹雪など、バリエーションが豊富です。そのため古典柄からモダン柄まで幅広く用いられています。

牡丹

ボタンの見頃は4〜6月なので、卒業式シーズンより少し先になります。日本には四季があり、春夏秋冬それぞれに見頃の花がありますが、着物の柄は実際の季節よりも1〜1カ月半ほど先取りするのが粋といわれています。卒業袴に牡丹柄を着るのは、季節を先取りしたおしゃれな選択といえるでしょう。

「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」といわれるように、牡丹は女性の美しさを表す言葉に使われています。中国では古来、ボタンの花がどの花より優美で豪華絢爛なことから「百花の王」と称えられています。「風格」「富貴」などの花言葉がある華やかな牡丹は卒業袴にふさわしい柄といえるでしょう。たくさんの花びらが重なる豪華な牡丹柄は古典柄に用いられることが多く、女性の美しさを引き立ててくれます。

「松竹梅」といわれるように、縁起の良さが広く知られている松。松は千年もの寿命があることや、常に緑色の葉をつけていることなどから、めでたい植物とされています。卒業袴には松のみで用いられることは少なく、松・竹・梅のセットで使われたり、他の花と組み合わせたりされることが一般的です。松は若い女性に渋すぎるようなイメージがあるかもしれませんが、丸みを帯びてかわいく描かれることも多く、ポップでカラフルな袴に用いられることもあります。

「鶴は千年、亀は万年」といわれるように、吉祥文様の鶴は長寿の象徴とされるおめでたい柄です。鶴は飛翔する「飛鶴文」や折り鶴を文様化した「折り鶴文」など、さまざまな描かれ方があり、どれも豪華な雰囲気です。古典柄で梅などの花と一緒に描かれることが多く、高貴な雰囲気を醸し出します。

短冊

短冊柄は、古典柄として昔から伝わる伝統文様です。和歌や俳句などを詠むときに使う細長い紙を文様化したもので、学問成就や仕事の成功を願う意味を持ちます。そのため短冊柄は4月から社会人になる卒業生にふさわしい柄といえるでしょう。

矢絣柄(やがすりがら)

矢絣柄とは矢羽根を交互に並べた柄で、大正ロマン風を代表する着物の柄です。矢は一度飛んでいけば戻らないことから、昔は娘が嫁ぎ先から戻ることがないよう、結婚するときに矢絣柄の着物を持たせていたといわれています。現代では大正時代の女学生スタイルの定番であることから、卒業袴の代表的な柄というイメージがあります。

市松模様

市松模様とは、2色の四角形を交互に並べた模様です。市松模様は柄が途切れることなく続くことから「子孫繁栄」「事業拡大」などの意味を持つ縁起の良い柄です。レトロな卒業袴を代表する模様で、大きめなら華やかに、小さめならモダンな印象になります。

幾何学模様

幾何学模様は丸や三角、四角などの図形が規則的に配置されているデザインです。大柄で単調な幾何学模様は、最近人気のレトロなデザインによく見られます。

【柄別】合わせる袴の人気の色

着物と色の組み合わせによって、さまざまな雰囲気を演出できることが卒業袴の魅力のひとつです。今回は、先ほどご紹介したそれぞれの柄に合わせる人気の色をご紹介します。

椿

古典的な椿柄は、花が大きく描かれたデザインもあれば、花と葉が描かれたデザインもあります。赤い椿に緑の葉が描かれたデザインであれば、緑の袴が似合います。赤と緑は補色なので、お互いの色を引き立てる効果があります。

梅は古典的な定番の柄ですが、流行のレトロモダンやレトロポップな柄が人気です。白地に赤のねじり梅が大きく描かれた着物には、紺や黒の袴を合わせると引き締まった印象になります。レトロに着こなすときの履物はブーツが似合うでしょう。

桜の柄は、色や大きさなどさまざまなタイプがあります。咲き誇る桜や風に舞う花びらが描かれた着物には、淡いピンクや赤、紫などの袴が似合うでしょう。また、ピンクの生地に桜が描かれた着物には、緑の袴がよく似合います。桜の刺繍が入った袴を選ぶと着物と袴に統一感が出て素敵です。

牡丹

牡丹は百花の王といわれるだけあって、ゴージャスな印象の着物が多いです。色にもよりますが、大きな牡丹が着物全体に描かれた豪華絢爛な着物には、高貴なイメージがある紫やワイン色などの袴がよく似合います。また、赤で大きく描かれた牡丹柄には、の袴をコーディネートするとモダンな印象になります。

縁起が良い吉祥文様として人気がある松柄。着物に描かれる松は丸みがあってかわいいデザインが多く、松竹梅や他の花と組み合わせたデザインも多い傾向です。松の緑色に合わせて、袴も緑や黄緑を選ぶとよく似合います。

古典的な鶴の柄が描かれた赤地の着物には、モスグリーンの袴などが似合うでしょう。鶴が大きく描かれた着物なら、トレンドの白やクリーム色の袴も似合います。

短冊

古典的な短冊柄には、紺や紫、ワイン色などがよく似合います。「学業成就」「仕事の成功」といった短冊柄の意味に合うように、落ち着いた色の袴を合わせるとよいでしょう。

矢絣柄

大正ロマン風の王道スタイルが、赤の矢絣柄の着物に紺や黒の袴というコーディネートです。また、紫や緑など定番カラーの袴も似合います。足元は大正時代のハイカラさんのようにブーツが似合うでしょう。落ち着いた印象になりますので、少し華やかにするなら刺繍が入った袴がおすすめです。

市松模様

市松模様の着物は「白と黒」「赤と白」など、コントラストがはっきりしたデザインが多いため、袴は濃紺や深みのある赤、緑などを合わせるとレトロな雰囲気に仕上がります。

幾何学模様

レトロな雰囲気になれる幾何学模様の着物は、着物に使われている色と袴の色を統一するのがおすすめです。レトロモダンな雰囲気にしたい方は、クリーム色やからし色などもおすすめです。

なりたいイメージに合わせて柄を選ぶのもおすすめ

卒業袴のデザインには、主に「古典」「レトロ」「モダン」の3種類があります。伝統的な古典柄で卒業式に臨むのもいいですし、流行のレトロなデザインを選ぶのもいいでしょう。また、華やかな雰囲気が好きな方にはモダンなデザインがおすすめです。それぞれのデザインにどのような特徴があるかご説明しますので、卒業袴選びの参考にしてください。

古典

最近は伝統的な古典デザインの良さが見直されています。古典的な柄とは日本の伝統的な絵柄のことで、桜や吉祥文様など縁起の良いモチーフが描かれています。昔から愛されてきた柄なので、流行に左右されないことも魅力といえるでしょう。

古典柄は上品さや品格が感じられるため、卒業式という人生の門出にふさわしいデザインといえます。落ち着いた雰囲気で着こなすなら無地の袴、明るさを加えるなら刺繍が入ったものやグラデーションの袴を合わせるとよいでしょう。

レトロ

レトロとは、「古き良きものを懐かしみ、ノスタルジーを感じさせる事物」を好意的な意味で「レトロな」と形容することから、現在の様な色柄で華やかさを楽しむのではなく、着物の初期である落ち着いた色合い・シンプルな柄粋を楽しむスタイルです。

レトロスタイルは一般的に彩度が低く、深みがある色合いなので、派手さはありませんが懐かしさとかわいさを併せ持つおしゃれ感が人気です。レトロ柄には紫や深みのある緑など、落ち着いた色の袴が似合います。

モダン

モダン柄とは、古典柄やレトロ柄とは対照的に現代的なデザインです。たとえば古典柄の着物は梅や桜、菊など日本で古くから親しまれている花が描かれていますが、モダン柄はバラやダリアなど西洋の花をモチーフにしています。その他にもリボンや幾何学模様などが描かれ、かわいい柄からクールな柄までバリエーションが豊富です。

また、華やかで目を引くカラーが使われていることが多いため、着物の柄に合わせて袴も刺繍をあしらった華やかなものなどが似合います。モダンは「現代的」という意味なので、流行とともにデザインも変わっていきます。従来の着物のイメージにとらわれない流行の卒業袴を選びたい方や、華やかなヘアスタイルに似合うデザインを選びたい方にはモダン柄が向いているでしょう。

レトロモダンも人気

卒業袴の主なデザインを3つご紹介しましたが、レトロとモダンをミックスしたレトロモダンも大変人気があります。レトロ柄の特徴ともいえる深みがある色とモダン柄の明るい色をミックスしているため、レトロ柄より華やかな印象です。懐かしさの中に現代的な要素がちりばめられ、両方の良さがミックスされていることが人気の理由といえるでしょう。

まとめ

卒業袴に多い柄の意味についてご紹介しました。柄の意味を知れば、卒業袴選びがより楽しくなります。また、卒業袴には古典柄・レトロ柄・モダン柄などがあるため、なりたいイメージから柄を選ぶのもよいでしょう。学生最後の晴れの日に着る卒業袴は、素敵な意味が込められている柄を選んでみてはいかがでしょうか。

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